ワインペアリングコンテスト 2021 オイスター部門特別協賛「MUROTSU」

オイスターに理想的な海を持つ室津

本年度のオイスターワインコンテストでは、ベスト真牡蠣賞として、MUROTSU特別賞が選定された。

兵庫県たつの市室津といえば、「室津一年牡蠣」の産地として知られ、前回のオイスターワインコンテストにおいてもベスト真牡蠣賞として「室津一年牡蠣特別賞」が選定されている。

通常、養殖牡蠣は成長に2〜3年を要するが、条件に恵まれた、ごく限られた産地においては 1 年未満でも出荷可能なサイズに成長する。

室津はそうした限られた産地のひとつである。

千種、揖保の2本の川によって、山からのミネラルを豊富に注ぎ込まれる室津湾。その豊かな栄養によって、一年未満というわずかな生育期間でも、充分に味わいの乗った牡蠣となる。また、広島の約7m に対して、室津は1m と干満の差が小さく、深さも貝にちょうどいい。そもそも、海そのものが「貝に良い海」なのだ。

三拍子揃った理想の牡蠣「三倍体」

そんな恵まれた土地・室津から、新たな挑戦がはじまろうとしている。

2020 年より、兵庫県では三倍体の牡蠣養殖が解禁となった。

三倍体の牡蠣とは、通常二倍体のかきを品種改良した「産卵しないかき」。

一般的に牡蠣は、夏に産卵した後に痩せて、食用には適さなくなってしまう。

三倍体とは、染色体のセットを3 倍もつ倍数体のこと。牡蠣類は通常二倍体だが、受精卵を処理することで人為的に三倍体を作り出する事ができる。三倍体の牡蠣は卵を作らないため、産卵によって栄養分を失うことなく、夏場にも、充分な身入りの牡蠣が出荷できるのである。

また、極めて交雑を起こしにくいことから遺伝的多様性の保全にも有効という、三拍子揃った夢の牡蠣なのである。

世界スタンダードの真牡蠣「MUROTSU」

オイスターワインコンテストの特別協賛スポンサーでもある津田宇水産株式会社の津田侑典専務取締役は、三倍体牡蠣養殖の解禁に際しては、県の役員も務めた。津田氏は、三倍体の真牡蠣を「MUROTSU」というブランド名で日本のみならず、全世界に広く知らしめようとしている。

「室津は、『室津一年牡蠣』で知られていましたが、これからは『MUROTSU』が新たに加わります。一年牡蠣は、11月から5 月の真牡蠣シーズンの終わりまで、変化する味わいを追いかけて、一年に何度も味わい尽くすように、成長過程の味わいを追いかけることができる日本人好みの牡蠣。これに対して『MUROTSU』は、一年を通じて同じクオリティで、甘みのある、形も良い牡蠣を供給することができる。『MUROTSU』は、室津という牡蠣の生産地が、世界で勝負するために作った牡蠣なのです。」

「MUROTSU」は、すべてが世界スタンダード。

日本ではロープに吊るされた状態で成長するのが一般的であるが、「MUROTSU」の養殖方法は、牡蠣をバスケットに入れてバラバラの状態で成長させる「シングルシード」を採用。

こうすることで、丸みを帯び、カップが深くなり、ひと口で食べられる小ぶりな牡蠣に成長する。

日本では、大きな牡蠣が喜ばれるが、世界ではこうした小ぶりで、濃厚な味わいの牡蠣がスタンダードなのだ。

それが、通年、同じクオリティで供給できるというところに、「MUROTSU」の絶対的な強みがある。

牡蠣だけで年間およそ350トンの生産を誇る津田字水産。日本のみならず、ロシア、中国、台湾、香港、タイなどとも取引がある、近畿地方最大の生産者である。今後は、「さらに三倍体の出荷を増やし、一年牡蠣に拮抗する名産に育て上げていきたい」と、津田氏は力強く語った。