飲食店のためのラムとワインの活用術

ラムとワイン、ペアリングのポイント

背脂を付けたままを焼き上げたラムラックは、強めのタンニンと好相性。融点が低く、ともすれば口の中にまとわりつく脂を洗い流してくれる。背脂を完全に除去するとガラリと上品なキャラクターに変わるので、酸味のきれいな軽やかな赤ワインで口の中を満たしたくなる。また、ラムを焼く時にローズマリーやタイムなどのハーブ用いると、ハーブやミントの風味をもつワインにマッチする。ワインの方からの相性でいうと、温かい地域で充分に熟した果実味濃厚な赤ワインには、脂のしっかりのった部位のラム。冷涼な地域で育てられた赤ワインには、ラックの赤身などさっぱりとした味わいのラムがよい。いずれにしても、ラムはどの部位を、どうカットして、どう火を入れるかで味わいは大きく変化するので、ワインとのペアリングは多様に楽しめる。

じつは取り扱いやすいラム肉

「ラム肉は取り扱いが難しいのでは?」という声も聞かれるが、そのような懸念は全くない。「冷蔵の状態で保存する」、「温度の上下がないように配慮する」など、基本的には牛や豚などの肉の取り扱いと変わらない。昨今は熟成肉ブームだが、こと羊に関しては、10日以上の熟成で肉の旨味成分であるアミノ酸が増えないことが科学的に実証されており、そして脂肪はフレッシュであればあるほど、甘味が感じられる。ラムは早めに食べた方がより美味しいとされているのである。そもそも新鮮の「鮮」という漢字は、「魚」と「羊」と書く。諸説はあるが、これは「魚と羊は、新鮮なうちに食べた方が美味しい」という意味でもあるとか。大量に在庫せず、回転よく使い切ることにさえ配慮しておけば、羊肉はむしろ取り扱いしやすい食材といえよう。また、イスラム教の作法に則って屠畜・加工されたハラル用のラム肉も、オーストラリアなどから輸入されているため、インバウンド対応もむしろ容易にできる食材なのである。

におい対策

羊肉というとジンギスカンのイメージからか、においが衣服などに付くことを気にするお客様も。しかし、マトンが使われることの多いジンギスカンに比べ、ラムはそれほど強い煙を立てる食材ではないので、通常の飲食店の排気設備があれば特に問題はない。プロフェッショナルならではのお客様対策として、上着を覆うカバーや、食事の時に着けるエプロン、消臭スプレーなどの用意があると告知しておくと、来店しやすい店となるだろう。

“ラムチョップ”の呼び方に注意

ラムの首から腰にかけての部分はラックと呼ばれるが、日本ではラムチョップの愛称で親しまれている。このラムチョップを骨付きのロース肉だと勘違いしている方が多いようだが、実際ラムチョップは、部位の名前ではなくカット後の形状をさす。ラム肉をチョップしたという意味なので、もも肉でも肩肉でも、大抵骨付きでブツブツとカットしてあれば「chopped lamb」になるのだ。「ラック」や、肋骨周辺の肉を除去(フレンチトリム)した場合は「フレンチラック」など、正しい呼び方で。


※掲載内容の無断転載は禁止いたしております。※
掲載内容の2次使用をご希望の場合は、下記の点にご注意いただき使用いただけますようお願い申し上げます。

※2次使用での注意事項※
1.「ラムワインコンテスト2019パーフェクトガイド」もしくは「ラムワインコンテスト2019公式ページ」より転載した旨を明示ください。
2.掲載個所に「ラムワインコンテスト」ロゴマークを掲示ください。(ダウンロードはこちらから)