ラムの基礎知識【1】
いま、なぜ日本において「ラム」に注目が集まるのか?

ラムと人類の一万年史

ラムワインコンテスト2019羊が家畜化されたのは、紀元前7000〜6000年頃の古代メソポタミアという。またさらに古く、8000年前からとも、また1万年以上前からともいわれている。古くから毛や皮が織物や紙にも加工され、利用されてきたが、なんといっても食用の家畜として、人類と深い関わりをもってきた。

肉食を禁じていない宗教であっても、ヒンズー教徒は牛、イスラム教徒は豚というように細かな禁忌があるが、羊は、こうした宗教的なタブーをもたないほとんど唯一の食肉といわれている。

羊はローストなどスタンダードな調理法の他にも、個性的な料理が各国で見られる。

オーストラリアやニュージーランドでは、バーバキューの定番肉といえばラムである。

ギリシャでは、羊肉の薄切りを積み重ねて周囲から加熱し、周囲からそぎ切りにしてピタに挟んで食べる「ギュロス」や、羊のひき肉のグラタン「ムサカ」が知られる。

モンゴルや中近東などでは、塩茹でが名物料理。シンプルながら、滋味深い味わいは一度食べるとやみつきになる人も。

宗教的な禁忌の多いインドでも、羊のカレーは多くの人に好まれている。

イギリスでは羊の胃袋の内臓を詰めた「ハギス」、アイルランドでは羊肉を用いた「アイリッシュシチュー」が知られる。

「羊頭狗肉」などという故事成語のある中国では、古来羊は上等な肉であり、そもそも羊が大きいと書く「美」という漢字は、「大きな羊は脂がのっていて旨い」という意味であった。

大きく変化・進展した日本におけるラムの流通

世界の統計2018(総務省統計局)によれば、養羊数の多い国は、1位中国、2位オーストラリア、3位インド、そしてイラン、ナイジェリア、スーダン、イギリス、トルコ、エチオピアと続く。一人あたりの養羊率の高い国は、モンゴル、ニュージーランド、オーストラリア、スーダンの順。また、ギリシャ、キプロス、イギリス、アイルランドなどでも、羊をよく食べる。

一方、日本で本格的な養羊が始まったのは明治以後。食用の文化もそれ以降で、およそ100年の歴史しかない。

しかしここ数年で、日本のラム事情は大きく変化・進展してきている。

たとえば15年ほど前までは、羊肉というと匂いが強いという先入観が浸透しており、なおかつ新鮮なラム肉は、都心のごく一部の食材店でしか入手することができなかった。しかし、近年では、海外からチルドの状態で、新鮮で、品質のよい、そして驚くほど安価なラムが輸入されるようになり、それが全国津々浦々、どこでも手に入れられるようになった。

地方のスーパーマーケットで普通にラムが売られているということが、消費を伸ばし、先入観を払拭することにも繋がったと分析する専門家も多い。

ヘルシーで健康的なラム

羊は個体が小さく、牛などに比べて菌数が少ないといわれている。かつ、主要な輸出国であるオーストラリアやニュージーランドは、安全性への取り組みにとても熱心だ。両国とも、海に囲まれていて疫病の影響を受けにくいという地理的優位性も大きく作用する。

健康志向の人びとには、ヘルシーさも魅力である。羊の脂は、脂肪融解温度が44℃と高いため、脂肪分は体内で溶けることなく排出される。またLカルニチンが豊富に含まれているために、すでに身体についている脂肪燃焼効果まであるのだ。

羊は、日本人において牛、豚、鶏に続く第四の肉となるのではないか、との指摘もある。

2019はラムに注目が集まる絶好のタイミング

日本では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックという一大イベントを控えている。また今年2019年9月20日〜11月2日には、オリンピック、FIFAワールドカップと並ぶ世界三大スポーツイベントである、4年に1度のラグビー世界王者決定戦「ラグビーワールドカップ」が開催される。

こうした状況において、日本は海外からの注目も集まり、年を追うごとに訪日外国人観光客は増大している。

あまり宗教上の食の禁忌をもたない日本人は見過ごしがちであるが、インバウンドのへのもてなしには、配慮が必要になる。ヒンズー教徒に牛肉を出したり、イスラム教徒に豚を出したりすることは、基本的にあってはならないからである。こうした宗教的なタブーをもたないほとんど唯一の食肉である羊肉が、インバウンドへのもてなしに欠かせなくなるであろうことは、容易に想像がつく。

このように、さまざまな背景が多層的に重なって、現在の日本において、食肉としてのラムに大きな注目が集まっている。

ラムはまさに、日本における飛躍の時を迎えている。


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